MAOU LIFE
~MAOU LIFE 14日目~
天帝「…という事で民衆・聖人向け集団お見合い案を企画化していく。その担当責任者をやってもらう」
天使長「…え?私がですか…?」
リンデは若年層の結婚率を向上させる為の企画担当責任者に任命された。仕事を任される事は喜ばしい事だが、内容が内容だけに正直喜べなかった。
天使長「他人の結婚の世話するより、私の世話して欲しいわよ…」ボソッ…
そうぼやいても仕事は仕事、リンデは仕方ないと企画案を考え打ち出していく。出会いの場が無いという点においてはリンデも長年経験済みで、集団お見合い会場の設定時間やマッチングにおける内容(出会いが無い人向け)は決まった。しかしどうしたら人を呼び込めるか、また結婚の利点(出会いはあってもしない人向け)については全く固まらない。
天使長「結婚の利点か…好きな人と一緒に過ごせるって事ぐらいしか思いつかない…でもそれだけだと普通に論破どころか話にならないし…アーリア様に相談してみようかな…」
リンデは結婚の利点についてアーリアに相談に行ったが、アーリアは笑顔(目が笑っていない)で「結婚とは我慢と諦めの連続」とだけ言って、あとは話を濁らせただけだった。机に戻ったリンデは気が付いたら携帯電話のメール画面を開いていた。
天使長「デス殿なら聞いてくれるかな…」
リンデはデスに食事の約束を取り付け、仕事が終わって2人で行きつけのレストランに行った。
天使長「という訳なのです」
死神「なるほど…お恥ずかしながら、わた、私はそういった経験があまり無いので…ただ漠然と相手と一緒に過ごせる、帰ったら迎えてくれる人がいる…とか、ぬ、温もりを感じられる…あ、あの温もりってアレですよ?あの、優しさとかの事で、決していやらしい事とかではっ!」
リンデはデスが意外にも恋愛経験が少ない事や未婚である事、また結婚について自分と同じように考えてるという事が分かり、少し嬉しく感じてくすりと笑った。
死神「あ、あの、魔王様と王妃様に話を伺ってみてはどうですか?あのお二方はこれまでに色々と苦労されてきてますし、こう言っては失礼かもしれませんが良い意味で魔界一のバカップルですから」
デスがそう言うとリンデは頷いた。するとそのままデスはゼクスに連絡をとり、その日急遽リンデはゼクスと会う事になった。
魔王「結婚の利点とな?」
天使長「お恥ずかしい話ですが、私は恋愛経験がありませんので、ただただ漠然とした事しか思いつかないのです」
魔王妃「意外ですね、リンデ殿のような美しくて仕事も出来る方なら、きっと相応の素敵な恋人がいると思ってました」
天使長「出会いがなかなか無いのです…それに…」ゴニョゴニョ…
リンデはゼクスの住む部屋に訪れ、部屋に上がり2人に話を聞いていた。
魔王「大した事は言えぬが、結婚生活とは互いに尊重しあい愛情豊かな日々を過ごせるが、それに伴う大きな責任を背負い毎日を過ごす事でもある。我はアーシュと恋愛結婚をしたから、こうして『当たり前の日常』をともに過ごせる事が幸せだ。だが…生活を共有するという事は大きな責任がある。経済的なもの、体面的なもの、そして子供が生まれたら親としてのもの、それは様々だ」
天使長「責任…ですか」
魔王「うむ、財産が共有化する事により、経済的パートナーとしてお互いを見る事になる。そして離婚=悪い事と捉える者がまだまだ多いのが実状で、簡単に別れ辛い状況に追い込まれる為、世間体を守るのとあと相手の事を思う故の我慢がうまれる。我は見ての通り、豊かな生活を家族に与えてやれておらぬ。だからアーシュには苦労や我慢をさせて申し訳なく感じておる」
魔王妃「我慢なんてしていませんよ、私はゼクス様のお側にいられるだけで幸せです」
確かにリンデも驚いた。魔王家の住む所は大豪邸を想像していたが、まさかの社員寮(独身者向けで月1万G)に住んでいて、黒やアニマル柄のバスローブ姿ではなくて某アニメの雷オヤジみたいな部屋着で、高級なウイスキーやワインではなく安い発泡酒を片手に持っている…。イメージと完全にかけ離れた姿にリンデはかなり衝撃を受けた。ゼクスは膝の上で腹巻きを掴んで眠っているシャルルの頭を優しく撫でて、その隣に寄り添うアーシュに申し訳なさそうに視線を送る。
魔王「だが、そうして責任を持つ事で『家族を守る』という腹が決まり、成長する事が出来る。そして様々な困難を家族と共に乗り越える事で、不安が自信とより大きな愛情に変わる。あとは急に現実的な話だが世の中の制度がよく理解出来る。政治は勿論、年金や保険等含めて他各種手続きやらな」
魔王妃「独り身の時だとあまり実感しないものが、結婚する事によって急に実感湧いたりしますもんね、子供養育手当てとか有り難いですよー?年金や保険も家族で入るとお得だったり、また必要性を感じる政策が見えてきたり」
魔王「うむ」
天使長「なるほど…」
魔王「まぁ他にも色々あるが、そろそろゲートの運行終了時間も近かろう。乗り遅れては大変だし、続きはまた次回にでも話してやる」
ゼクスはシャルルをベビーベッドに優しく寝かせる。そして自分とアーシュの携帯番号を特売チラシの裏に書き、「いつでも電話してこい」とリンデに手渡した。リンデは夜分遅くなってしまった事と突然の訪問について詫び、感謝の言葉を伝えた。
天使長「夜分に…すみません…っと」
リンデはデスに今日のお礼のメールを打って送信して、天界へと帰っていった。それからリンデは後日ゼクスやアーシュに色々話を聞き、それまで考えていた案を一度白紙に戻し、再び一から企画を考えた。
天使長「結婚か…色々大変なんだなー…でも魔王様や魔王妃様を見てると、苦労があっても幸せそうで羨ましいな。私も…言い訳してないで頑張ってみよっかな…」
リンデは携帯の画面を開き、電話帳のデスの番号を眺める。
~MAOU LIFE 14日目~ 終
天帝「…という事で民衆・聖人向け集団お見合い案を企画化していく。その担当責任者をやってもらう」
天使長「…え?私がですか…?」
リンデは若年層の結婚率を向上させる為の企画担当責任者に任命された。仕事を任される事は喜ばしい事だが、内容が内容だけに正直喜べなかった。
天使長「他人の結婚の世話するより、私の世話して欲しいわよ…」ボソッ…
そうぼやいても仕事は仕事、リンデは仕方ないと企画案を考え打ち出していく。出会いの場が無いという点においてはリンデも長年経験済みで、集団お見合い会場の設定時間やマッチングにおける内容(出会いが無い人向け)は決まった。しかしどうしたら人を呼び込めるか、また結婚の利点(出会いはあってもしない人向け)については全く固まらない。
天使長「結婚の利点か…好きな人と一緒に過ごせるって事ぐらいしか思いつかない…でもそれだけだと普通に論破どころか話にならないし…アーリア様に相談してみようかな…」
リンデは結婚の利点についてアーリアに相談に行ったが、アーリアは笑顔(目が笑っていない)で「結婚とは我慢と諦めの連続」とだけ言って、あとは話を濁らせただけだった。机に戻ったリンデは気が付いたら携帯電話のメール画面を開いていた。
天使長「デス殿なら聞いてくれるかな…」
リンデはデスに食事の約束を取り付け、仕事が終わって2人で行きつけのレストランに行った。
天使長「という訳なのです」
死神「なるほど…お恥ずかしながら、わた、私はそういった経験があまり無いので…ただ漠然と相手と一緒に過ごせる、帰ったら迎えてくれる人がいる…とか、ぬ、温もりを感じられる…あ、あの温もりってアレですよ?あの、優しさとかの事で、決していやらしい事とかではっ!」
リンデはデスが意外にも恋愛経験が少ない事や未婚である事、また結婚について自分と同じように考えてるという事が分かり、少し嬉しく感じてくすりと笑った。
死神「あ、あの、魔王様と王妃様に話を伺ってみてはどうですか?あのお二方はこれまでに色々と苦労されてきてますし、こう言っては失礼かもしれませんが良い意味で魔界一のバカップルですから」
デスがそう言うとリンデは頷いた。するとそのままデスはゼクスに連絡をとり、その日急遽リンデはゼクスと会う事になった。
魔王「結婚の利点とな?」
天使長「お恥ずかしい話ですが、私は恋愛経験がありませんので、ただただ漠然とした事しか思いつかないのです」
魔王妃「意外ですね、リンデ殿のような美しくて仕事も出来る方なら、きっと相応の素敵な恋人がいると思ってました」
天使長「出会いがなかなか無いのです…それに…」ゴニョゴニョ…
リンデはゼクスの住む部屋に訪れ、部屋に上がり2人に話を聞いていた。
魔王「大した事は言えぬが、結婚生活とは互いに尊重しあい愛情豊かな日々を過ごせるが、それに伴う大きな責任を背負い毎日を過ごす事でもある。我はアーシュと恋愛結婚をしたから、こうして『当たり前の日常』をともに過ごせる事が幸せだ。だが…生活を共有するという事は大きな責任がある。経済的なもの、体面的なもの、そして子供が生まれたら親としてのもの、それは様々だ」
天使長「責任…ですか」
魔王「うむ、財産が共有化する事により、経済的パートナーとしてお互いを見る事になる。そして離婚=悪い事と捉える者がまだまだ多いのが実状で、簡単に別れ辛い状況に追い込まれる為、世間体を守るのとあと相手の事を思う故の我慢がうまれる。我は見ての通り、豊かな生活を家族に与えてやれておらぬ。だからアーシュには苦労や我慢をさせて申し訳なく感じておる」
魔王妃「我慢なんてしていませんよ、私はゼクス様のお側にいられるだけで幸せです」
確かにリンデも驚いた。魔王家の住む所は大豪邸を想像していたが、まさかの社員寮(独身者向けで月1万G)に住んでいて、黒やアニマル柄のバスローブ姿ではなくて某アニメの雷オヤジみたいな部屋着で、高級なウイスキーやワインではなく安い発泡酒を片手に持っている…。イメージと完全にかけ離れた姿にリンデはかなり衝撃を受けた。ゼクスは膝の上で腹巻きを掴んで眠っているシャルルの頭を優しく撫でて、その隣に寄り添うアーシュに申し訳なさそうに視線を送る。
魔王「だが、そうして責任を持つ事で『家族を守る』という腹が決まり、成長する事が出来る。そして様々な困難を家族と共に乗り越える事で、不安が自信とより大きな愛情に変わる。あとは急に現実的な話だが世の中の制度がよく理解出来る。政治は勿論、年金や保険等含めて他各種手続きやらな」
魔王妃「独り身の時だとあまり実感しないものが、結婚する事によって急に実感湧いたりしますもんね、子供養育手当てとか有り難いですよー?年金や保険も家族で入るとお得だったり、また必要性を感じる政策が見えてきたり」
魔王「うむ」
天使長「なるほど…」
魔王「まぁ他にも色々あるが、そろそろゲートの運行終了時間も近かろう。乗り遅れては大変だし、続きはまた次回にでも話してやる」
ゼクスはシャルルをベビーベッドに優しく寝かせる。そして自分とアーシュの携帯番号を特売チラシの裏に書き、「いつでも電話してこい」とリンデに手渡した。リンデは夜分遅くなってしまった事と突然の訪問について詫び、感謝の言葉を伝えた。
天使長「夜分に…すみません…っと」
リンデはデスに今日のお礼のメールを打って送信して、天界へと帰っていった。それからリンデは後日ゼクスやアーシュに色々話を聞き、それまで考えていた案を一度白紙に戻し、再び一から企画を考えた。
天使長「結婚か…色々大変なんだなー…でも魔王様や魔王妃様を見てると、苦労があっても幸せそうで羨ましいな。私も…言い訳してないで頑張ってみよっかな…」
リンデは携帯の画面を開き、電話帳のデスの番号を眺める。
~MAOU LIFE 14日目~ 終