MAOU LIFE
今日の晩ごはん
~MAOU LIFE 16日目~
魔王「……腹が減った」
魔王妃「……申し訳ありません」
魔王女「ほぷぅ…」
いま魔王一家は大ピンチに陥っていた。3日前、アーシュが買い物に行った際、財布を落としてしまったのだ。しかも次の給料日までの全財産(6782G)入り。
魔王「次の給料日まであと10日か…」
魔王妃「本当に申し訳ありません…」
魔王女「ほぷぅ…」ペシペシ…
魔王「無くした物は仕方ない。我は食わずとも特に支障は無いだろうが、お前は何か食わんとシャルルの飯に影響する……仕方ない」
ゼクスはおもむろに立ち上がり、鎧に着替え、ゴミ出し用の空のゴミ袋(45リットル)を左手に持つ。そしてアーシュの方を振り向いた。
魔王「シャルルの事は頼んだ。我はこれから森で食糧を調達してくる」
ゼクスはそのまま部屋を出て、空に飛び立つ。そして鬱蒼と樹木が生い茂る呪いの森に向かって行った。
魔王「チッ…マタンゴ(毒キノコ)ばかりで食用が見つからんな…」
ゼクスはキノコ探しをまず開始したが、毒キノコばかりで早々に諦め、野草探しに切り替えた。野草はちらほら見つかったが量が少なく、とても大人2人分どころか1人分の腹の足しにも満たない量だ。
魔王「うーむ…何でも良いから食える物はないか…?」
その時、ガサガサっと近くの草むらが揺れ、茂みから大きな一角ウサギが現れた。
魔王「肉!!」
ウサギを見たゼクスは空腹により、訓練試合の時以上の凄まじい殺気を放つ。それにウサギが驚き、本能に従って全速力で逃げ去る。
魔王「逃がすか…」
ゼクスは飢えた魔獣の様な目で獲物をロックオンし、走って追いかける。飛べば一瞬で追いつくが、生い茂る木々が邪魔で飛ぶ事は困難だった。
魔王「デカい図体の癖にチョロチョロと小賢しい…」
相当な速さで不安定な足場を駆け抜けるゼクスだったが、その土地に住み慣れたウサギは安定した足取りでゼクスを振り払うように左右に逃げ回る。ゼクスはイライラがピークに達したのか魔王剣を召喚し、邪魔な木々を薙ぎ払い、漆黒の竜翼を広げた。そしてウサギに一瞬で追いつく。
魔王「大人しく我らの胃袋に入るが良い!」
ウサギにあと少しで手が届くところで、地面から巨大な口が現れ、ウサギを飲み込んだ。全長2mはある巨大なカエルだった。
魔王「…あっ」
それから1時間後…ゼクスは自宅に戻ってきた。
魔王「いま帰った」
魔王妃「ゼクス様、お帰りなさいませ!」
魔王女「ほぷぅ~!」
ゼクスはよっこいしょと右手に掴んでいた緑色で表面がヌルヌルした物体を2人に見せる。かなり生臭いにおいがする。
魔王妃「あの……これって…」
魔王女「ほ…ほぷぅ…」
魔王「見ての通りカエルだ」
アーシュとシャルルはゼクスが捕ってきた獲物を見て、思わず引いていた。だがゼクスは何事も無かったかのように部屋の外で自分の鋭い爪を使って皮を剥ぎ、肉を引き裂き、内蔵を取り出して処理をする。その生々しい光景と臭いにアーシュは思わずむせたが、次第に肉屋などで見慣れたブロック肉になっていった。
魔王妃「こうして見ると…鶏肉みたいですね」ゴクッ…
魔王「確かにな…とりあえず焼いてみるか」
ゼクスは切り出した肉を台所に運んでいき、塩コショウを振って、山で採ってきた野草をハーブ代わりに擦り付け、フライパンで焼いてみた。美味しそうな匂いがする。
魔王「普通に食えそうだな…」
魔王妃「においは完全にチキンステーキですね…」
魔王女「ほぷぅ!」
ゼクスとアーシュは皿に盛り付ける前に空腹で、フライパンに乗ってある肉をそのまま食べ始めた。
魔王&魔王妃「「これは!!」」
魔王「うまい!」
魔王妃「美味しい!」
味は完全に鶏肉だった。しかも地鶏のような歯ごたえで、それもまた良いアクセントになる。
2人は食欲が止まらず、貪る様に全てたいらげた。
魔王「食った食った…ゲフッ」
魔王妃「もう…食べられません」
空腹が満たされた2人はシャルルにもミルクを与え、3人はそのまま幸せな気持ちで川の字で爆睡し始めた。そして次の日の朝、魔王一家の部屋のドアが激しく叩かれる。何事かとゼクスとアーシュがドアを開けると、何故か怒っているデスが立っていた。
死神「魔王様!魔王妃様!外の謎の殺害現場は一体何なんですか?!他の部屋の者達からも苦情が入ってますよ!」
ゼクスは「あっ…忘れてた」という顔をした。そしてアーシュはデスの怒りの迫力に負けて、その経緯を洗いざらい話した。
死神「はぁ…それならそうと私に言って下さればいくらかお貸ししましたのに…。とりあえず、魔王様と魔王妃様はコレ片付けてから出勤してきて下さいね!あと出勤されたらすぐお二人にお話がありますので、そのつもりで!」
2人は「はい…」と暗く返事をして謎の殺害現場の隠滅作業を始めた。
~MAOU LIFE 16日目~ 終
魔王「……腹が減った」
魔王妃「……申し訳ありません」
魔王女「ほぷぅ…」
いま魔王一家は大ピンチに陥っていた。3日前、アーシュが買い物に行った際、財布を落としてしまったのだ。しかも次の給料日までの全財産(6782G)入り。
魔王「次の給料日まであと10日か…」
魔王妃「本当に申し訳ありません…」
魔王女「ほぷぅ…」ペシペシ…
魔王「無くした物は仕方ない。我は食わずとも特に支障は無いだろうが、お前は何か食わんとシャルルの飯に影響する……仕方ない」
ゼクスはおもむろに立ち上がり、鎧に着替え、ゴミ出し用の空のゴミ袋(45リットル)を左手に持つ。そしてアーシュの方を振り向いた。
魔王「シャルルの事は頼んだ。我はこれから森で食糧を調達してくる」
ゼクスはそのまま部屋を出て、空に飛び立つ。そして鬱蒼と樹木が生い茂る呪いの森に向かって行った。
魔王「チッ…マタンゴ(毒キノコ)ばかりで食用が見つからんな…」
ゼクスはキノコ探しをまず開始したが、毒キノコばかりで早々に諦め、野草探しに切り替えた。野草はちらほら見つかったが量が少なく、とても大人2人分どころか1人分の腹の足しにも満たない量だ。
魔王「うーむ…何でも良いから食える物はないか…?」
その時、ガサガサっと近くの草むらが揺れ、茂みから大きな一角ウサギが現れた。
魔王「肉!!」
ウサギを見たゼクスは空腹により、訓練試合の時以上の凄まじい殺気を放つ。それにウサギが驚き、本能に従って全速力で逃げ去る。
魔王「逃がすか…」
ゼクスは飢えた魔獣の様な目で獲物をロックオンし、走って追いかける。飛べば一瞬で追いつくが、生い茂る木々が邪魔で飛ぶ事は困難だった。
魔王「デカい図体の癖にチョロチョロと小賢しい…」
相当な速さで不安定な足場を駆け抜けるゼクスだったが、その土地に住み慣れたウサギは安定した足取りでゼクスを振り払うように左右に逃げ回る。ゼクスはイライラがピークに達したのか魔王剣を召喚し、邪魔な木々を薙ぎ払い、漆黒の竜翼を広げた。そしてウサギに一瞬で追いつく。
魔王「大人しく我らの胃袋に入るが良い!」
ウサギにあと少しで手が届くところで、地面から巨大な口が現れ、ウサギを飲み込んだ。全長2mはある巨大なカエルだった。
魔王「…あっ」
それから1時間後…ゼクスは自宅に戻ってきた。
魔王「いま帰った」
魔王妃「ゼクス様、お帰りなさいませ!」
魔王女「ほぷぅ~!」
ゼクスはよっこいしょと右手に掴んでいた緑色で表面がヌルヌルした物体を2人に見せる。かなり生臭いにおいがする。
魔王妃「あの……これって…」
魔王女「ほ…ほぷぅ…」
魔王「見ての通りカエルだ」
アーシュとシャルルはゼクスが捕ってきた獲物を見て、思わず引いていた。だがゼクスは何事も無かったかのように部屋の外で自分の鋭い爪を使って皮を剥ぎ、肉を引き裂き、内蔵を取り出して処理をする。その生々しい光景と臭いにアーシュは思わずむせたが、次第に肉屋などで見慣れたブロック肉になっていった。
魔王妃「こうして見ると…鶏肉みたいですね」ゴクッ…
魔王「確かにな…とりあえず焼いてみるか」
ゼクスは切り出した肉を台所に運んでいき、塩コショウを振って、山で採ってきた野草をハーブ代わりに擦り付け、フライパンで焼いてみた。美味しそうな匂いがする。
魔王「普通に食えそうだな…」
魔王妃「においは完全にチキンステーキですね…」
魔王女「ほぷぅ!」
ゼクスとアーシュは皿に盛り付ける前に空腹で、フライパンに乗ってある肉をそのまま食べ始めた。
魔王&魔王妃「「これは!!」」
魔王「うまい!」
魔王妃「美味しい!」
味は完全に鶏肉だった。しかも地鶏のような歯ごたえで、それもまた良いアクセントになる。
2人は食欲が止まらず、貪る様に全てたいらげた。
魔王「食った食った…ゲフッ」
魔王妃「もう…食べられません」
空腹が満たされた2人はシャルルにもミルクを与え、3人はそのまま幸せな気持ちで川の字で爆睡し始めた。そして次の日の朝、魔王一家の部屋のドアが激しく叩かれる。何事かとゼクスとアーシュがドアを開けると、何故か怒っているデスが立っていた。
死神「魔王様!魔王妃様!外の謎の殺害現場は一体何なんですか?!他の部屋の者達からも苦情が入ってますよ!」
ゼクスは「あっ…忘れてた」という顔をした。そしてアーシュはデスの怒りの迫力に負けて、その経緯を洗いざらい話した。
死神「はぁ…それならそうと私に言って下さればいくらかお貸ししましたのに…。とりあえず、魔王様と魔王妃様はコレ片付けてから出勤してきて下さいね!あと出勤されたらすぐお二人にお話がありますので、そのつもりで!」
2人は「はい…」と暗く返事をして謎の殺害現場の隠滅作業を始めた。
~MAOU LIFE 16日目~ 終