MAOU LIFE
~MAOU LIFE 22日目~
魔王「アーシュ、アーリアから良いもの貰ったぞ?」
魔王妃「まぁ!ステキなマフラーとセーターとニット帽と手袋ですね!まるで売り物みたい」
毎年寒くなってくるとアーリアお手製の編み物がゼクス家に贈られる。アーリアは趣味の範囲内でプロ並みの出来栄えにまで昇華させたので、ゼクス達の冬の防寒着は彼の編み物に頼りきっている。
魔王妃「えーっと、ゼクス様にはマフラー、私にはセーターとニット帽、シャルルたんには一式…凄いですよねー、私も天帝様に習いに行こうかなー」
魔王「あとでメールで伝えておく」
編み物一式にはそれぞれ名前のイニシャルが編み込まれており、一目で誰のものか分かるようになっている。
魔王妃「明日からこれ着ていこーっと」ルンルン…
魔王「そうだな、最近寒いしな」
魔王女「ほぷぅ!」キャッキャッ…
次の日、ゼクス一家はアーリアから貰った編み物衣類を装備して出勤した。
死神「おや?天帝様の新作ですか?」
魔王「うむ」
死神「良いですねー。あ、ところで魔王様、今日は城内の大掃除の日ですので、よろしくお願いしますね?」
そういえばそうだったと、ゼクスとアーシュは防寒着を外して、頭にタオル鉢巻き、手には軍手を装備し直して掃除に取り掛かる。床の掃き掃除が終わるか終わらないかの辺り、城に侵入者が現れた。
剣士「なんか掃除してるぞ?」
暗殺者「今のうちに魔王のところに行こう」
武闘家「無駄に体力を消耗したく無いしな」
無職「魔王を倒せばこれで俺もハイパーノービスだ!」
剣士一行は城内の兵士達に気付かれないように魔王の間に到着。扉を開けた。
魔王「アーシュ、ベビーベッドは我れが持ち上げておくから、脚の埃を取ってくれ」
魔王妃「はーい!」
魔王女「ほっぷぅ!」キャッキャッ…
魔王妃「シャルルたーん、暴れちゃダメでちゅよー」
剣士はパタンと扉を閉めた。
剣士「あれ?部屋間違えた?」
武闘家「いや、魔王の間って書いてるぜ?」
剣士「…だよな」
もう一度扉を開けてみる。
魔王女「ほぷぅ!ほぷぅ!ほっぷぅ!」キャッキャッ…
魔王「シャルル、大人しくするんだ。落ちたら危ないぞ?」
魔王妃「シャルルたーん、イイコにちてまちょうねー?落ちたら痛い痛いでちゅよー?」
剣士「………あのー?」
魔王「ん?」
剣士は間違えてたら悪いと思って掃除中のゼクスに声をかけた。
剣士「ここって魔王の間…ですよねー?」
魔王「如何にも」
剣士「魔王ゼクスって…」
魔王「我だが?」
剣士「………なんか取り込み中のとこ、悪いんだけど…」
魔王「…勝負…とな?掃除が終わったらな」
剣士「いや、出来れば今すぐが良いんだけど…」
魔王「無理」
死神「魔王様、そろそろ休憩しましょう?…って、何者だ貴様ら!」
剣士「うわっ!見つかった!だから今すぐが良かったのに!」
剣士がゼクスと押し問答をしている間に、デスが2人分のお茶を持って部屋に入ってきた。デスは剣士一行を見て、睨みつけた。そしてゼクスのディスクにお茶を置くと、スッと何かを後ろから取り出し、それを剣士一行につきだした。
死神「勝手に城内に入られては困る!入り口で1人1万Gの入場チケットの購入と、この名簿に名前と住所の記帳をするように!」
剣士「えっ?…チケット?」
無職「殺されるかと思った…」ビクビク…
最近ゼクスが導入したシステムで、入場料はその売上を城の運営費の一部や、接待(襲われた)した兵士達の労災費用に充てられ、名簿の記帳については入場者の出身国の王に提出し、入場者が損壊させた物の修理・弁償費用を請求する為のものだった。剣士一行はそれぞれ、名簿に記入して、チケットをデスから購入する。
死神「えーっと最後にそちらの…ノービスさん?チケット代を頂きます」
無職「…ヤベェ全然足りねぇ…なぁ、ちょっと6000G貸してくんねぇ?」
他3人「いや持ってない、まぁ1万Gは確かに高いよなー、2000Gならあるけど…」
死神「あと4000G…」
無職「いや、もう無いわ…」
死神「では…」
パァーンっと風船が割れるような音がして、剣士と武闘家と暗殺者が驚いた。目の前に居た無職が肉片と血飛沫を飛び散らせ、破裂したのだ。
剣士「ひっ!!」
武闘家「マジかよ!」
暗殺者「グロ…」
無職の正面にいたデスは返り血に濡れながら、青く淡い光を放つ魂を右手で掴んでいた。
死神「足りない分は魂でお支払いという事で」
魔王「…おい、デス…お前が部屋を汚してどうする?」
死神「はっ!これは申し訳ありません!すぐに掃除させますので!」
デスは右手の魂に鎖を繋ぎ、無職の魂を奴隷化、そして生前の時と同じ姿に変えた。
死神「そこの汚物を掃除していろ」
無職「…ウワァァァ…オレハハイパーノービスニナルハズダッタノニー」
死神「聞こえなかったのか?無職の寄生虫野郎が」
無職の魂は自分の死を受け入れたくない様子で叫んでいたが、デスに蹴り飛ばされてオドオドと自分の残骸を片付け始めた。
他3人「………ヤベェ」ガクブル…
剣士一行はデスの実力を見て確信した。部下レベルでこれなら、魔王に挑んだらどうなる事かが。当のゼクスはデスが運んできたお茶をアーシュとまったりすすっているが、3人からしてみれば恐怖の対象以外の何者でもない。
魔王「それで?何用だ?」マッタリ…
剣士「あ、あの、ですね…」
武闘家「うちのむ、村の近くに…オークの群れが集落を作って…その…」
剣士「魔王様に注意して貰えないかなー…なんて思ったり…」
魔王「…あぁ、人間共を守る為に我れが送りこんだオーク兵の軍隊か。奴らが何かしでかしたか?」
暗殺者「実は…うちの村の若い娘を乱暴したり、殺害したり、そういうオークが時々出ているのです」
魔王「そうか…わかった。ならば我れが明日直々にお前達の村に行き、抜き打ちで駐屯地への視察を行おう。その際危害を加えた豚共を見つけ、全兵士・村人の前で公開処刑をする。最後に兵士共には連帯責任として給料大幅カット、浮いた賃金は全て村への慰謝料として払わせて貰おう」
剣士「ほ、本当ですか!?」
魔王「うむ…条例に違反するのでな。わざわざすまなかったな」
武闘家「あ、ありがとうございます!」
魔王「さてと、掃除の続きでもするか」
暗殺者「お忙しい中、失礼しました…」ペコリ…
それからゼクス達は何事もなく掃除を終わらせ、装備品をアーリアお手製セットに切り替えて帰宅。無職の魂は掃除に手間取っており、綺麗に片付けるまで居残り掃除をさせられていた。そして次の日、ゼクスはちゃんと人間界に降臨し、村への謝罪・慰謝料の支払いを済ませ、オーク兵の駐屯地で犯人だった3匹の雄豚を見つけ出し、残虐極まりない方法で処刑を実行。勿論全員に公開。兵士達にはこうなりたく無ければ人間共に手を出すなと、ドスを利かせて注意勧告・給料大幅カットを実施した。
魔王「全く…バカンス気分で羽目を外しておったようだな…これからは更に訓練を厳しくするように、他軍の将軍を派遣させておかねばな…」
ゼクスは魔王城に戻り、オーク達の駐屯地に派遣する将軍を選出していた。その隣でアーシュは朝からアーリアにカメラ通話で編み物を習っていた。まずは簡単なぬいぐるみから教えて貰っているようだ。
魔王妃「ゼクス様!出来ました、見て下さい!」ホメテホメテ…
魔王「ん?おぉ、良く出来た黒豚だな」ヨシヨシ…
魔王妃「……黒猫です」ショボン…
魔王「…すまん」ナデナデ…
~MAOU LIFE 22日目~ 終
魔王「アーシュ、アーリアから良いもの貰ったぞ?」
魔王妃「まぁ!ステキなマフラーとセーターとニット帽と手袋ですね!まるで売り物みたい」
毎年寒くなってくるとアーリアお手製の編み物がゼクス家に贈られる。アーリアは趣味の範囲内でプロ並みの出来栄えにまで昇華させたので、ゼクス達の冬の防寒着は彼の編み物に頼りきっている。
魔王妃「えーっと、ゼクス様にはマフラー、私にはセーターとニット帽、シャルルたんには一式…凄いですよねー、私も天帝様に習いに行こうかなー」
魔王「あとでメールで伝えておく」
編み物一式にはそれぞれ名前のイニシャルが編み込まれており、一目で誰のものか分かるようになっている。
魔王妃「明日からこれ着ていこーっと」ルンルン…
魔王「そうだな、最近寒いしな」
魔王女「ほぷぅ!」キャッキャッ…
次の日、ゼクス一家はアーリアから貰った編み物衣類を装備して出勤した。
死神「おや?天帝様の新作ですか?」
魔王「うむ」
死神「良いですねー。あ、ところで魔王様、今日は城内の大掃除の日ですので、よろしくお願いしますね?」
そういえばそうだったと、ゼクスとアーシュは防寒着を外して、頭にタオル鉢巻き、手には軍手を装備し直して掃除に取り掛かる。床の掃き掃除が終わるか終わらないかの辺り、城に侵入者が現れた。
剣士「なんか掃除してるぞ?」
暗殺者「今のうちに魔王のところに行こう」
武闘家「無駄に体力を消耗したく無いしな」
無職「魔王を倒せばこれで俺もハイパーノービスだ!」
剣士一行は城内の兵士達に気付かれないように魔王の間に到着。扉を開けた。
魔王「アーシュ、ベビーベッドは我れが持ち上げておくから、脚の埃を取ってくれ」
魔王妃「はーい!」
魔王女「ほっぷぅ!」キャッキャッ…
魔王妃「シャルルたーん、暴れちゃダメでちゅよー」
剣士はパタンと扉を閉めた。
剣士「あれ?部屋間違えた?」
武闘家「いや、魔王の間って書いてるぜ?」
剣士「…だよな」
もう一度扉を開けてみる。
魔王女「ほぷぅ!ほぷぅ!ほっぷぅ!」キャッキャッ…
魔王「シャルル、大人しくするんだ。落ちたら危ないぞ?」
魔王妃「シャルルたーん、イイコにちてまちょうねー?落ちたら痛い痛いでちゅよー?」
剣士「………あのー?」
魔王「ん?」
剣士は間違えてたら悪いと思って掃除中のゼクスに声をかけた。
剣士「ここって魔王の間…ですよねー?」
魔王「如何にも」
剣士「魔王ゼクスって…」
魔王「我だが?」
剣士「………なんか取り込み中のとこ、悪いんだけど…」
魔王「…勝負…とな?掃除が終わったらな」
剣士「いや、出来れば今すぐが良いんだけど…」
魔王「無理」
死神「魔王様、そろそろ休憩しましょう?…って、何者だ貴様ら!」
剣士「うわっ!見つかった!だから今すぐが良かったのに!」
剣士がゼクスと押し問答をしている間に、デスが2人分のお茶を持って部屋に入ってきた。デスは剣士一行を見て、睨みつけた。そしてゼクスのディスクにお茶を置くと、スッと何かを後ろから取り出し、それを剣士一行につきだした。
死神「勝手に城内に入られては困る!入り口で1人1万Gの入場チケットの購入と、この名簿に名前と住所の記帳をするように!」
剣士「えっ?…チケット?」
無職「殺されるかと思った…」ビクビク…
最近ゼクスが導入したシステムで、入場料はその売上を城の運営費の一部や、接待(襲われた)した兵士達の労災費用に充てられ、名簿の記帳については入場者の出身国の王に提出し、入場者が損壊させた物の修理・弁償費用を請求する為のものだった。剣士一行はそれぞれ、名簿に記入して、チケットをデスから購入する。
死神「えーっと最後にそちらの…ノービスさん?チケット代を頂きます」
無職「…ヤベェ全然足りねぇ…なぁ、ちょっと6000G貸してくんねぇ?」
他3人「いや持ってない、まぁ1万Gは確かに高いよなー、2000Gならあるけど…」
死神「あと4000G…」
無職「いや、もう無いわ…」
死神「では…」
パァーンっと風船が割れるような音がして、剣士と武闘家と暗殺者が驚いた。目の前に居た無職が肉片と血飛沫を飛び散らせ、破裂したのだ。
剣士「ひっ!!」
武闘家「マジかよ!」
暗殺者「グロ…」
無職の正面にいたデスは返り血に濡れながら、青く淡い光を放つ魂を右手で掴んでいた。
死神「足りない分は魂でお支払いという事で」
魔王「…おい、デス…お前が部屋を汚してどうする?」
死神「はっ!これは申し訳ありません!すぐに掃除させますので!」
デスは右手の魂に鎖を繋ぎ、無職の魂を奴隷化、そして生前の時と同じ姿に変えた。
死神「そこの汚物を掃除していろ」
無職「…ウワァァァ…オレハハイパーノービスニナルハズダッタノニー」
死神「聞こえなかったのか?無職の寄生虫野郎が」
無職の魂は自分の死を受け入れたくない様子で叫んでいたが、デスに蹴り飛ばされてオドオドと自分の残骸を片付け始めた。
他3人「………ヤベェ」ガクブル…
剣士一行はデスの実力を見て確信した。部下レベルでこれなら、魔王に挑んだらどうなる事かが。当のゼクスはデスが運んできたお茶をアーシュとまったりすすっているが、3人からしてみれば恐怖の対象以外の何者でもない。
魔王「それで?何用だ?」マッタリ…
剣士「あ、あの、ですね…」
武闘家「うちのむ、村の近くに…オークの群れが集落を作って…その…」
剣士「魔王様に注意して貰えないかなー…なんて思ったり…」
魔王「…あぁ、人間共を守る為に我れが送りこんだオーク兵の軍隊か。奴らが何かしでかしたか?」
暗殺者「実は…うちの村の若い娘を乱暴したり、殺害したり、そういうオークが時々出ているのです」
魔王「そうか…わかった。ならば我れが明日直々にお前達の村に行き、抜き打ちで駐屯地への視察を行おう。その際危害を加えた豚共を見つけ、全兵士・村人の前で公開処刑をする。最後に兵士共には連帯責任として給料大幅カット、浮いた賃金は全て村への慰謝料として払わせて貰おう」
剣士「ほ、本当ですか!?」
魔王「うむ…条例に違反するのでな。わざわざすまなかったな」
武闘家「あ、ありがとうございます!」
魔王「さてと、掃除の続きでもするか」
暗殺者「お忙しい中、失礼しました…」ペコリ…
それからゼクス達は何事もなく掃除を終わらせ、装備品をアーリアお手製セットに切り替えて帰宅。無職の魂は掃除に手間取っており、綺麗に片付けるまで居残り掃除をさせられていた。そして次の日、ゼクスはちゃんと人間界に降臨し、村への謝罪・慰謝料の支払いを済ませ、オーク兵の駐屯地で犯人だった3匹の雄豚を見つけ出し、残虐極まりない方法で処刑を実行。勿論全員に公開。兵士達にはこうなりたく無ければ人間共に手を出すなと、ドスを利かせて注意勧告・給料大幅カットを実施した。
魔王「全く…バカンス気分で羽目を外しておったようだな…これからは更に訓練を厳しくするように、他軍の将軍を派遣させておかねばな…」
ゼクスは魔王城に戻り、オーク達の駐屯地に派遣する将軍を選出していた。その隣でアーシュは朝からアーリアにカメラ通話で編み物を習っていた。まずは簡単なぬいぐるみから教えて貰っているようだ。
魔王妃「ゼクス様!出来ました、見て下さい!」ホメテホメテ…
魔王「ん?おぉ、良く出来た黒豚だな」ヨシヨシ…
魔王妃「……黒猫です」ショボン…
魔王「…すまん」ナデナデ…
~MAOU LIFE 22日目~ 終