MAOU LIFE
~MAOU LIFE 28日目~

魔王「次の者~、入れ」
口裂「失礼します」ペコ…
魔王「座るが良い」
口裂「失礼します」スチャ…
魔王「名前と出身を述べよ」
口裂「はい、口裂け女のマリです。出身は人間界です」
魔王「では特技と志望理由を述べよ」
口裂「はい、私の特技は…」

今日は魔王城の社員を選考する面接会が開かれており、魔界内の住人は勿論、人間界の魔物や天界の天使等も来ている。

魔王「次の者~」
天使「失礼しまーす」
魔王「志望理由は?」
天使「なんかー、天使職って堅っ苦しいし、その上あまり仕事任せて貰えないから、これ以上スキルアップが望めないっていうか。それにうちのボスと魔王様の訓練試合見て、魔王様の訓練とか受けてみたいなーとか思って、志望しました」
魔王「堕天する覚悟はあるのか?言っておくが、堕天するのは我の判子一つで簡単だが、昇天するのは手続きも厄介な上に審査が難しいぞ?それでも良いのか?」
天使「全然大丈夫です、自分独り身なんで」
魔王「はい、採用」ポン…

飛び込み面接可、即合否発表。そこら辺の企業より手軽に受けれる為、面接会の日はとんでもない数の希望者が集まる。しかし面接するのはゼクス一人の為、段々適当になってくる。

魔王「次~」
人間「失礼致します」
魔王「出身と志望理由は?」
人間「はい、出身は人間界です。志望理由は私の国の政策がとにかく雑で、正直老後が不安なので、こちらで…」ウンタラクンタラ…
魔王「話が長い。不採用。次ー」

ガチャっと扉を開けて入ってきたのは何と、天界のトップ、天帝アーリアだった。

魔王「……不採用」
天帝「何故だー!?まだ何も話しておらんぞ!」
魔王「たわけ。最高神が堕天するとか前代未聞だぞ。帰れ」
天帝「いやいや、せめて志望理由とか聞いて欲しいんだが…」
魔王「どうせ嫁関係だろ?」
天帝「いや、まぁ、そうなんだが…」
魔王「はい、不採用。帰れ」
天帝「待ってくれゼクス!話を…」
魔王「お前が堕天したら世界のバランスがおかしくなるだろうが」
天帝「その前に私の頭がおかしくなりそうだ」
魔王「………今日の夜、我が部屋に来い。その時に聞いてやるから、仕事の邪魔をするな」
天帝「わかった…」
魔王「次ー」

アーリアはトボトボと天界に帰り、その後は普通に魔王城勤務希望者のみが面接にやってきた。ゼクスは流れ作業の様に面接をこなし、今日の分の仕事を終わらせた。残りはまだまだいたが、残りは次の日という事で全員に整理券を配り、自宅に帰った。

魔王「つ…疲れた…」
魔王女「ほぷぅ!」キャッキャッ…
魔王妃「ゼクス様、お疲れ様でした」チュッ…
魔王「飯食って寝よう…」
魔王妃「あのー…」チラッ…
魔王「ん?…そうだった…」オゥフ…
天帝「すまない、ゼクス…疲れてるところを…」

ゼクスは部屋着に着替えると夜食を食べながらアーリアの話を聞いた。

魔王「…で?お前の嫁が浮気しているかもしれないと?」
天帝「うむ…ハッキリとした証拠はないのだが…ここの所朝帰りが多いし…尋ねても友人と飲んでいたとか言う割に酒の臭いはしないし…妻は煙草を吸わないのに服から煙草の臭いがするし…この間は我が家のソープと違う匂いの石鹸の匂いを漂わせて帰ってきて…」
魔王「…というかお前の嫁は昔から浮気してるだろ。まさか今更気付いたのか?」
天帝「お前…最初から知っていたのか!?」
魔王「エステルの翼の数…今まで不自然に思わなかったのか?魔王一族も天帝一族も直系の者は全て翼が6枚になるのに、何故エステルの翼の数は2枚なんだ?」
天帝「はっ!!…そういえば」

クルスの以前からの浮気だけでなく、託卵疑惑(限りなく黒)が浮上し、アーリアは益々暗くなった。

魔王「で?今後どうするんだ?離婚の準備でもす…」
天帝「その前にとりあえず堕天するわ…」シクシク…

~MAOU LIFE 28日目~ 終
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