MAOU LIFE
~MAOU LIFE 40日目~

ある晴れた太陽の日。ゼクスはシャルルを連れて公園に散歩に出ていた。

ママ友「あら、シャルルちゃん、今日はパパとお散歩?」
魔王女「ほぷぅ」ルンルン…
ママ友「魔王様、いつもお疲れ様です」ニコッ…

育児仲間でママ友に話しかけられた。ゼクスも挨拶を返し、とりあえず公園のベンチにママ友と並んで座り、雑談を楽しむ。シャルルはゼクスの膝の上で、隣のママ友の膝に座る男児と会話らしきものをしている。

魔王「まぁまぁ、そういう事もあるだろうが、そう旦那ばかり責めるもんではない。お前達家族を守りたいからこそ、朝から晩まで精一杯働いておるのだ」
ママ友「ですが魔王様、魔王様みたいに育児にも積極的な旦那なら良いんですけど、うちのはたまの休みは疲れているからとゴロゴロしてばかりで…」
魔王女「ほぷぅ、ほっぷぅ?」
男児「あーい、ばぶぅ!だー!ちゃーん」
魔王「何?1日12時間労働で休憩が30分?しかも休日出勤も有りで手当ても無しだと!?どこの会社だ?今すぐ我自ら乗り込んで即営業停止にしてくれる!!」
ママ友「えぇっ!でも…旦那が無職になったら…」オドオド…
魔王女「ほっぷぅ、ほぷほぷ…ほぷぅ!」
男児「…あぅ…だー?」オドオド…
魔王「その後の生活費については責任者に罰金として保障させ、足りない分は国で保障してやるから心配するな。また失業者の新しい勤め先についても特に希望が無ければ国で面倒みてやる」キリッ…
ママ友「あっ、ありがとうございます!すぐうちの人に伝えます!あ、あの会社名は…」
魔王女「ほぷぅ!ほぷっほぷほっぷぅ!」キリッ…
男児「ちゃーん!」
魔王「あとは我に任せておけ!」ドーン…
魔王女「ほぷぅ!」ドーン…

ゼクスがママ友と話をまとめると、シャルルの方も何かがまとまったらしい。ゼクスはシャルルを抱っこして問題の会社へと飛んでいった。そして部下を働かせている癖に自分達はのほほんと休んでいる代表取締役を始め、幹部を全て魔王命令で呼び出し、無手当の休日出勤をしている部下達の前で正座させ、長時間の説教(人格否定を含む)。そしてその場にいた部下達一人一人に土下座をさせてから、永久営業停止処分命令を下した。取締役や幹部には社員の今後保障と本来付くはずの手当分の支払い、また地獄の囚人達のみが行う最低辺の超ブラック業務(1000年)を命じ、経営幹部を除く全ての社員の新しい勤め先については国が保障すると宣言。オフィスではブラック企業の社畜にされていた者達の大きな歓声が上がっていた。

死神「昨日は休日というのに、大変お疲れ様でした」
魔王「最近ブラック企業が増えているとは耳にしていたが、今朝のニュースで昨日の一件をマスコミが取り上げてくれたから、これから徐々に減っていく事であろう」
死神「誰も好き好んで囚人達と同じ扱いで、年中無休かつ休憩無しの24時間労働なんてしたくありませんしねー。しかし労働大臣は何をしていたのやら…」
魔王「うむ、こういう者達がいないか調べ、それを取り締まるのも業務のうちというのに。デス、現労働大臣と副大臣を今すぐ降格処分にし、お前の信用出来る者達の中で1週間以内に新しく選出しろ」
死神「はっ、かしこまりました!」
魔王「ところで、アーシュとシャルルが先ほどから見当たらんが、どこへ行ったか知らんか?」
死神「魔王妃様は猿列車に乗った魔王女様に連れられてどこかへ外出されましたが…」
魔王「そういえば昨日シャルルとあの坊主が何かを話して(?)いたが…それか?」

その頃アーシュとシャルルは公園に居た。アーシュはシャルルが積極的に自分を遊びに連れ出そうとしたので、いつもより嬉しそうにしていた。そこに昨日のママ友が子供と一緒に公園に来て、ゼクスへの礼を言う。そして男児はもじもじとアーシュの方を見つめている。

男児「だー、だぶー、あぶぶぶぶ!あーい!」
魔王妃「なーに?どうしたのかなー?」ニコッ…
男児「ばぶー!だー、だー、ちゃん!」
ママ友「あらあら、この子ったら魔王妃様の事が好きみたい」フフフ…
魔王妃「ウフフ、ありがとねー」ニコッ…
魔王女「ほぷぅ」ニヤリ…

シャルルは男児からアーシュの事が好きだと相談されていたらしく、アーシュを男児と仲良くさせ、自分はその間にゼクスともっと一緒に遊びたいという、子供ならではの微笑ましい欲求を叶える為の行動を取っていたようだった。

魔王妃「なーに?それくれるのー?ありがとう、じゃあお返しにこれあげようねー」アメチャン…
ママ友「すみません、魔王妃様。良かったねー」ニコニコ…
男児「ちゃーん!」テレテレ…
魔王女「ほぷぅ」ニヤニヤ…

微笑ましい光景の中、シャルルだけは腹黒い笑顔を浮かべていたのであった。

~MAOU LIFE 40日目~ 終
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