毛布症候群

傘立てから自分の傘を探す。今までちゃんと出席してきたんだから、一回くらいさぼっても大丈夫なはず。
きっと駅前のファミレスにマオならだらだらしているだろうし。

てか、あたしの傘は?

「一緒に、入って行く?」

足音と、息切れする声。

振り向くと羊佑がいた。自分のリュックと紺色の傘を持っている。

ちょうど学校のチャイムが鳴った。殆ど誰もいない教室に音が響く。
雨だからグラウンドより体育館の方から掛け声が聞こえてくる。

こんなに多くの音が聞こえるのに、息を吐く音が聞こえる気がした。

「……なんでいるの」

「神津と同じ条件で勝たないと意味ないだろ」

「そういう馬鹿真面目なところが天川先生にウケると良いね」


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