毛布症候群
さっきのは暴言だけど、今のは皮肉だ。
まさか追ってくるとは思わなかったから。
口を噤んでしまった羊佑を見て、掌を見せる。
あ。とひとつ考えていた可能性を思い出した。
「もう既に付き合ってるなら、関係ないのか」
「神津のその、関係ないってのは口癖?」
息を整えて、ゆっくり話す。
スカートから覗く足が少し寒かった。
傷つかずに生きていける方法が知りたかった。
「本心」
人を傷つけずに生きていく方法が知りたかった。
「お姉ちゃん、またさぼったでしょう?」
塾から帰ってきた妹の玻璃があたしを見るなりそう言った。
どうして講座のことを知っているんだ、と色んな推測を立てる。