毛布症候群
また、というのは何だ。あたしが講座をさぼったのは今日が初めてだった。
「カウンセリング」
「ああ、それ」
「御梶間先生困ってたよ、連絡もあんまり返さなくなったって」
制服のリボンを外しながら玻璃は続ける。
「遅れてきた反抗期?」
「そうじゃない」
反抗期というより、本当に忘れていた。前の時もすっかり忘れていて、後から鬼のように電話がかかってきたことを思い出す。
前は一週間に一度だったけれど、今年に入って二か月に一回。忘れた頃にやってくる、というのはこのことか。
「玻璃、帰ってたの。ちょっとここに制服脱ぎっぱなしにしないでよ?」
二階からアイロンを持ってきたお母さんが玻璃が脱ぎ散らかした制服を見て、眉を顰める。