毛布症候群
マオは、高校に入って背が恐ろしく伸びたらしい。成長痛の辛さを語っていたことがある。
顔だって不細工じゃないし普通に細いし、あたしでさえ頭を抱えるような毒舌を考慮すれば彼女の一人や二人居ても変じゃない。
そこらの"ばか"と"えろいこと"に尻尾を振ってる偏差値の低い男女に比べれば、比べずとも良いと思う。
でもマオは人に簡単に懐かない。
他人にお世辞を言うのは嫌われたくないから。嫌われるのは、拒絶されることだから。
「今日実験だっけ」
スマホを見ながら呟く声にあたしは教室に入って黒板の日付を見た。
「生物?」
「それ。午後かあ、眠りそう」
とか言って、マオは殆どの時間眠っている。あたしの席から振り向かないと見えないけれど、授業中よく先生に当てられている。