毛布症候群
イヤホンを取りながらこちらを見る。あたしはマオの荷物とは反対側の椅子に座った。
「掃除終わったの?」
「来週に持ち越すことになった。ねえ、マオも手伝って」
「なに、先生と羊佑の仲が良すぎてハブられてんの?」
楽しそうに言う。一口コーヒーを飲んで、参考書を閉じた。
あたしが何も言わないのを感じて、ちょっと心配げに眉を顰める。
「僕狭いところダメだから手伝えないよ」
「……知ってる」
「最近硝子、羊佑が絡むと元気なくなるよね。ちょっと面白いから良いけど」
やっぱりちょっと楽しんでいるマオ。
心配している顔をするより、そういう顔をしている方が落ち着く。