毛布症候群
ここから見える空は、暗いだけで星が見えない。街灯が明かるすぎる。
「なんか言い返してよ、つまんない」
「元気ないっていうか、なんか羊佑見てると羨ましいなと思う」
「それ羊佑の方でしょ。数学の、」
「でも二位だよ? 別に頭抱えるほど悪いわけじゃない。前途多難な恋もあって、それにあたしも巻き込んで」
なんか苛々する。
言いながら感じた。
人を好きになるのが当たり前みたいに言う。それにも苛々した。
「怖いよ」
ひらひらと目の前で手が振られる。マオが頬杖をついていた。
「顔が怖い、硝子」
マオと初めて会話したときもそんなことを言われた気がする。
「話してないのに分かってもらえるわけない。言ったじゃん、夢は心の一部かもしれないけど、全部では絶対ないって」