毛布症候群
走っているのは廊下だった。高校のではない、知らない学校の廊下。
ひとつの教室に入る。
空き教室のそこは机が並べられているばかりで、人はいない。誰かに追われているのか、振り向いて扉の方を確認した。
荒い息。煩い心臓の音。
誰かが来た。知らない男子学生。学ランを着ていて、少し幼く見える。もしかして、中学なのか。
開いていた窓の枠に手をかけた。片足を乗せて、無理に笑う。身体の芯が冷える感じがする。
「逃げんな!」
誰かが叫ぶ。
「お前らの言う通り、死んでやるよ!!」
ふわ、と身体が浮く。浮くと感じたのは内蔵だったのかもしれない。空が青かった。千切ったような雲が散らされていて、春みたいだ。