毛布症候群
きゅ、と出しっぱなしにしていた水が止められる。足音もなく近付いてきていた。
「たまにここに来るの、知ってた」
マオは青白い顔であたしを見下ろしていた。
「体調悪いなら保健室行った方が良いよ」
「……違う」
首を少し振る。視界がぐらぐら揺れて気持ち悪くなった。
「悪夢でもみた?」
ちょっと笑った声。戯けているのか嘲ているのか分からない。
どうしてここに来たのだろう。
「僕もよくみる」
小塚繭巳は異質だった。あたしと同じ。
グループを作るとき一人になることはないけれど、教室移動や登校や下校で見るといつもひとり。混じっているのに混じっていない。
容姿だけ見て騒いでいる女子がいるのは知ってる。笑ってそれを受け流しているのを見た。