毛布症候群
同じだと思ってた。
でも違った。
『言葉にすれば形になる。そうしたら少しは楽になるかもしれない』
先生はそう言った。口を開いても棘にしかならないあたしに。
「君には関係ない」
小雨が強くなる気がした。遠くでクラクションの音がする。授業の始まりのチャイムが響く。
雨が世界を覆っていた。
「中三のとき、死のうと思ったことがある。たまにその時の夢をみて、また死にたくなる」
マオは静かに言う。あの感情がぶり返してくるようで、胸の奥が痛む。
知りたくない。勝手に見せられて、傷つくのはいつもあたしの方だ。
涙が出た。マオは笑っていたけど、悲しそうな顔をしていた。
あたし達は似ていたのかもしれない。