毛布症候群
していたな。
迷うことなく、答えが出た。なんだか心がすっきりしている。
歩き出すと、羊佑が隣に並んだ。
「ま、楽しいのは俺の方……」
「夢をみたから、知ってた」
他人の好きな人の話は口からぺろりと出てきたくせに、自分のことを話すのには勇気が要った。
気持ちを気にするのが面倒くさいから、マオ以外の人と一緒にいるのが苦手だった。
本音を話せない他人が近くにいるのは疲れるから。
弱音を見せてくれない他人が近くにいるのは気を張るから。
夢、と羊佑が復唱する。
「あたしが保健室で眠ってたとき、羊佑が隣のベッドで眠ってた。そのとき、羊佑の夢をみた」
「俺が出てきた夢ってことか?」
「羊佑が見ていた夢をみたってこと」