毛布症候群
ありがとうって。
なんだか笑ってしまった。このことを話して感謝されるなんて例えそれがお世辞だとしても夢にも思わなかった。
笑い過ぎて涙が出る。
「神津、そんなに笑うんだな」
「いや、ううん、やっぱり」
は? と首を傾げる羊佑が怪訝な顔をした。
「あたし、君のことが好きなんだ」
勢いに任せた。白猫が威嚇している。
その視線の先には、首輪で繋がれた大型犬。大型犬は眠そうに白猫を見ていた。
まるであたしか。
「神津さん」
呼ばれて振り向くと、天川先生がいた。鞄を持っていて、帰る途中なのだろうか。
淡い水色のブラウスが眩しい。
「こんにちは」
立ち上がって紺のスカートを払う。