毛布症候群
ざーっと、水の流れる音。誰かがシャワーを浴びている。
カーテンの隙間から見た朝は、雨に濡れていた。
「玻璃ったらお風呂入らずに机で眠ってたのよ。全くもう」
朝食を出しながらお母さんがあたしに向かって文句を言う。お父さんは既に家を出たみたいで、新聞がソファーの上に無造作に置かれていた。
「雨ねえ……」
テレビから聞こえる天気予報に、お母さんが呟く。
雨だ。食パンを咥える。
雨の日で、近くに眠っている他人の夢が感染る。
でも、昔から家族の夢はみなかった。
理由は分からない。御梶間先生も検討がつかないと首を振った。
昔から、両親はあたしの心配をしていた。
「洗濯物が乾かないの困るわ」