毛布症候群
諭すような言い方。あたしじゃなくて、たぶん羊佑自身のことを。
そうか、あたし達友達なのか。
数日前は話したこともなかったのに、あたしは友達になった。
「……馬鹿じゃないの、友達じゃないし」
「マジかよ。じゃあ俺が勝手に思ってるってことで」
「羊佑」
教室の前に来ていた。教室から出てくるクラスメートが羊佑を見て不思議そうな顔をする。
「応援してる」
マオがあたしの髪の毛を弄っている。
「良かった、硝子の髪がそのままで」
「どうして?」
失恋すると女子は髪切るじゃん、と唇を尖らせた。みんながみんなそういうわけじゃない。
ふわ、と隣に座った人が置いたカップからコーヒーの香りがした。