毛布症候群
「失恋というか……失恋というか、」
「なに?」
「初恋というか」
あたしは自分のカップを口まで持って行く。パチン、とゴムが弾かれる音。
三つ編みになった髪を見て「ありがと」と言った。
「初恋は実らないって言うよね」
「なにその根拠のない……実るって果実か」
「何もかもに根拠を求めるのは理系の悪いところだよ。あと発想が可愛くない。そんなんじゃ振られるな」
「確定ですか、容赦ないな」
参考書を閉じてマオはペンケースにシャーペンを戻す。
「羊佑も同じなんだろうね」
うん? と首を傾げる。理系ってところか、それとも発想が可愛くないところか。
「実らない恋っていうのはさ」
先生相手に恋。