毛布症候群

花が来た。いや、天川先生だった。

羊佑の手を離して「おはようございます」と挨拶をして教室まで早足で歩く。後ろから羊佑が追ってくる気配がした。

ちょうど教室からマオが出てきて、その後ろにまわった。

「うおっ、なになに」

「羊佑がしつこい!」

「正直に理由話せば良いだろ! 本当のこと話さないからこっちだって……」

「二人共うるさいし目立ってんだけど。つか硝子、腕に爪立てんな痛い」

眉を顰めていた羊佑が溜息を吐いて自分の教室に向かって行った。それを見てマオの腕から手を離す。

こちらを見たマオが「なにそれ?」と目を丸くした。

「……ビンタ食らった」

「誰……先輩?」

少し顔を強張らせて問うた。
それから、目を伏せた。


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