毛布症候群
あの人は軽率に美しい。



「神津、弁当? 食堂行っても良い?」

マオがすたすたと廊下に出ていったのを見て、あたしもお弁当を持って廊下へ出た。そこで羊佑が待ち受けていた。

罠か。

後退ると、教室から出てくる女子とぶつかって謝られた。こちらも謝る。

「……コント?」

「違うから。あたしマオと、」

「その小塚に神津を任された」

食堂の方向へ行ってしまう羊佑の背中を見る。仕方なくそれについていった。

食堂は賑わっていて、羊佑が窓際の席を指差した。あたしはそこに座ると、羊佑は券売機で食券を買いに行った。

……マオめ。

携帯を出してマオにメッセージを送ろうとした。その前に羊佑が前にトレーを置いた。

「その警戒心まるだしの目、なんか最初に話しかけたとき思い出す」



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