毛布症候群

返事がない。生きてるかな、と顔を覗いた。

「優しくない」

「時間差で謙遜しなくても」

「こうやって神津を付き合わせてる」

「今更。それにあたしが勝手に応援するって言ったんだから、そうやって気にするのは無駄な顧みだよ」

お弁当箱の蓋を閉める。
周りに座っていた生徒がだんだんと減っていった。マオは来ないかな。

「神津のが真心なら、俺のは下心だな」

「哲学的なこと言わないでよ。理系でしょう?」

「あ、バレた?」

爽やかに笑った。立ち上がってトレーを返却口へ持っていく。あたしも立ってその後に続いた。

「もっと距離を詰めたいとき、どうすれば良いの?」

……恋愛初心者のあたしにはこれまた無理難題な。


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