毛布症候群

食堂を出ながら考える。あたしは親しい人でどうしているか思い出してみた。

「あだ名つけるとか? あ、名前呼ぶとか」

天川先生の下の名前ってなんだろう。
今度マオに聞こうかな。

とか思ってたら、前からマオが歩いて来た。あたしの姿を見て顔を上げる。

「硝子」

マオが言ったのではない。羊佑の方を見上げた。

試しに呼ばれただけだ。

「馴れ馴れしく呼ばないでもらえます?」

「えー」

「マオちゃん、先輩と話はついたの?」

羊佑から離れてマオの隣に立つ。きょとんとした顔をしたマオが肩を竦めた。

「まあね。ご迷惑かけました」

「あたしが殴る約束は取り付けてきた?」

後ろで羊佑が笑う声がした。


< 83 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop