毛布症候群
食堂を出ながら考える。あたしは親しい人でどうしているか思い出してみた。
「あだ名つけるとか? あ、名前呼ぶとか」
天川先生の下の名前ってなんだろう。
今度マオに聞こうかな。
とか思ってたら、前からマオが歩いて来た。あたしの姿を見て顔を上げる。
「硝子」
マオが言ったのではない。羊佑の方を見上げた。
試しに呼ばれただけだ。
「馴れ馴れしく呼ばないでもらえます?」
「えー」
「マオちゃん、先輩と話はついたの?」
羊佑から離れてマオの隣に立つ。きょとんとした顔をしたマオが肩を竦めた。
「まあね。ご迷惑かけました」
「あたしが殴る約束は取り付けてきた?」
後ろで羊佑が笑う声がした。