毛布症候群

もしかしてマオが来たのかとそちらを見れば、天川先生がいた。

「神津さん、質問?」

「はい、天川先生に古典教えてもらいたくて」

「ぎりぎりに来たわねえ」

苦笑といった感じに笑われた。確かにそれは否めない。
ぎりぎりになればなるほど先生への質問がしにくくなるとは想像もしなかった。

ずらりと並んだ生徒たちを見て今回で学んだけれど。

「ここは人多いから、空き教室でやりましょう」

「はーい」

何人か天川先生の姿を見て、他の先生の列から出ようとしていたけれど、天川先生が素早くそこを出たので諦めていた。先生の人気もすごいな。

空き教室を見つけて、あたしの前の席の椅子に先生が座り、教科書を覗き込んだ。


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