毛布症候群
さらさらの黒髪が美しい。
「神津さん、授業中眠ってるでしょう。ほらここ、シャーペンの跡」
「午後の授業だし退屈だから眠いんですよ」
「同じこと荻野くんも言ってたわ。古典じゃなくて、数学だけど」
昼にそれらしいことを聞いた。今度居眠りしたら欠席にされるって、どれだけ眠ってるんだと呆れる。
先生からしてみれば、数学の成績が優秀だから授業は退屈で眠っていると考えるんだろう。
そこらへん考えられない羊佑は馬鹿というか、あほというか。
「荻野くんにも声かければ良かったですか?」
「うん?」
「先生、荻野羊佑と仲良いから」
少し困ったような笑みを見せる。少し言い過ぎたかもしれない、とあたしは口を噤んだ。
開いた窓から西日が射しこんだ。