毛布症候群
「神津さんは荻野くんが好きなの?」
逆に直球に聞かれる。答えてほしいなら、きっと答えないといけない。
「はい。ふられましたけど」
え、と声を漏らした先生が気まずそうに目を逸らした。そんなに気を遣ってもらうことではない。
というか、天川先生は羊佑が自分を好きなことに気付いているのだろうか。
……可能性は薄い。
「好きな人がいるのは知ってたんで、特別傷ついてはないです」
「……神津さんは強いのね」
「強いっていうか、鈍感だなと思います。国語能力も低いし」
あはは、と笑って取り繕う。なんだか重苦しい空気になってしまった。
「天川先生、ここのむって婉曲と仮定どっちの意味で使われてるんですか?」