毛布症候群

「神津さんは荻野くんが好きなの?」

逆に直球に聞かれる。答えてほしいなら、きっと答えないといけない。

「はい。ふられましたけど」

え、と声を漏らした先生が気まずそうに目を逸らした。そんなに気を遣ってもらうことではない。
というか、天川先生は羊佑が自分を好きなことに気付いているのだろうか。

……可能性は薄い。

「好きな人がいるのは知ってたんで、特別傷ついてはないです」

「……神津さんは強いのね」

「強いっていうか、鈍感だなと思います。国語能力も低いし」

あはは、と笑って取り繕う。なんだか重苦しい空気になってしまった。

「天川先生、ここのむって婉曲と仮定どっちの意味で使われてるんですか?」




< 89 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop