毛布症候群
先生の夢なんて、みたくなかった。
結局、先生を起こして次の駅で折り返した。
先生は先の駅で買い物をしていくからと別れた。
「お姉ちゃん」
この大雨の中、どうやって帰ろうかと思案していると、後ろから声をかけられる。
「今帰り?」
玻璃が私服の格好でそこに居た。塾だったらしく、トートバッグを持っている。
そして左手には傘を持っていた。
「うん、傘入れて」
「嫌だけど、お姉ちゃんすぐ風邪ひくしなあ」
なんだかんだ言って玻璃はあたしを傘に入れる為に呼びかけてくれたのだと思う。
家族思いの優しい子だ。
今日は傘から傘に渡り歩く日だ。玻璃の隣に並ぶと手がぶつかった。
「お姉ちゃん、手すごい冷たいけど大丈夫?」