@ラビリンス
保健室へ行きましょう
「〜〜が × × を〜〜して―――」
あの後私達も教室に戻り、一番眠気を誘う午後の授業を受けている。
(それにしてもあの人…晴人さん、いい人だったなぁ。)
きっと美衣菜も同じ事を思っただろう。
(ニクラって言ってたよね…今度ちゃんとお礼言わなきゃ…!)
―――ザワザワザワ
一日の授業が終わり、各々がサークルや下校の準備をしている。
私は一応委員会に入っている。今朝会った宮先生が顧問の保健委員だ。
帰り支度を終えて美衣菜に声をかける。
『じゃあ美衣菜、また明日来れたら来るね。』
呆れたような顔をして美衣菜は"はいはい"と手を振った。
―――ガラッ
「……るんだよね、僕は。」
委員会に行くために教室を後にした私は保健室の扉を開け、修羅場を目の前にしている。
『あっ…………。』
そこには涙で化粧のボロボロになった女の人ととても困った顔をしている茶髪の男の人がいた。
『す、すみません!ここで委員会が、今からあるから、えっと…。』
邪魔をしてしまったことを上手く謝りたいが混乱していて言葉がまとまらない。
「………………。」
女の人は私を気にも止めず男の人に抱きついたままだ。
ばちっと男の人と目が合う。
(あれ?今なんか笑った…?)
「悪い。だからこういうのホント迷惑なんだ。僕、この子が気に入ってるんだよね。」
真っ直ぐに伸ばされた手の先には唖然とした私がいて、抱きついていた女の人は彼から離れて私を見た。
「あなた……誰?」
そう言った声は明らかに怒りで震えていて、パッチリとした目は鋭く私を睨んでいた。
『え……あの………。』
「そうゆうことだから。もう付き纏うのやめてね?」
呆れているような声で女の人に言うと彼女はすぐに部屋から出ていく。