@ラビリンス
腰あたりにあった彼の手はスルスルと私の制服のボタンを外していく。

「本当はここまでするつもりなんてなかったんだけどね?君がそんなにエロい顔しちゃうから悪いんだよ。」

『やっ…!離して!!!』


「キスだけでそんな顔してるくせに強がんなよ。」

『私はっ、こんなこと私の好きな人以外としたくないっ…!!!』


眉間にシワを寄せ不機嫌な顔になる彼。

顎を掴まれ再び唇を奪われる。今度は噛み付くように乱暴だ。



『んっ!!はぁっ…んぁっあぅんっ……!!』

全身が痺れるように熱くなっているのがわかる。


(誰か………誰か来てっ!!!)


―――ガラッ


「おい。何してんの、お前。」






『みゃ………せんせっ………。』


彼の力が緩まる。と、同時に宮先生が彼の肩を乱暴に掴む。



「何やってんねんって聞いとんのや!!!」

声を荒らげる宮先生。



「別に。生徒同士がお楽しみ中なだけですけど?」

「ほぉ?女の手ぇ拘束して無理矢理やっとったように見えたけどなぁ?」

今にも殴り合いになりそうな空気で言葉を交わす。



「出てけ。ここは保健室や。怪我する人を看るための場所であって怪我させるとこやない。」

静かに先生が言う。

それと同時に私の所へ駆け寄り"大丈夫か"と声をかけてくれる。


「ふーん。」

彼は扉の方へ向かい、ピタッと足を止めた。

「僕、そいつの事気に入ったから。今度は邪魔しないでね、先生。」



結局名前も知らない彼は嵐のように去っていった。


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