@ラビリンス



「おい、大丈夫か?」

再び顔を覗き込む先生。


(先生…顔ちかっ……!!)

先ほどまで男とキスをしていたことをはっきりと自覚して急に顔が熱くなる。


『だ、だ、大丈夫れしっ…!!!』

(しまった!!思いっきり噛んだ!!)


まともに顔も見れずに俯いていると、先生は私の頭を自分の腕の中におさめる。



「宮野…あいつは手が早よぉて有名やから、近づいたらアカンで。」

いつもの陽気な声とは違って、落ち着いた低い声で囁くように言った。


『はい……。』



「今日は委員会でんでええから、家帰ってゆっくりしとけ。」

頭をポンポンと撫でると一緒に立ち上がらせてくれた。


『ありがとう…先生。』

「やめやめ!こんなんバレたらお前の兄貴に殺されるからな。」




私は宮先生に言われた通り、そのまま家へ帰るよう学校を後にした。


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