@ラビリンス
―――プルルルッ
『あ、珪兄ちゃん?今もう帰ってるんだけど…なんか買ってくるものある?』
学校を出て暫くして兄に電話をいれる。
「珍しいな、お前が電話なんて。それに声が元気ないぞ。」
(あぁ…やっぱり変だったかな。)
いつもだったら何も言わずに帰るはずだが、今はなぜか兄の声が聞きたくて電話してしまった。
『久しぶりの学校で疲れただけだよ。大丈夫。』
さっきあった事を話したら、きっと彼だけではなく宮先生まで生きていられないだろう。
「ふーん?」
納得していないような返事だったが、それ以上は聞いてこなかった。
「別に買ってくるもんはないから、気をつけて帰ってこい。今日はお前の好きなハンバーグにしといてやるから。」