@ラビリンス
リビングを通り奥の部屋でやっと降ろされる。
「朝ごはん作ってあるから、さっさと着替えて出てこいよ。」
『やだ!着替えないし、行かない!!大体なんで今日に限ってそんな強引なのよ!』
―――バタンッ
背を向けたまま兄が扉を閉める。
「ふーん?お前が着替えないって言うんなら仕方ないな。俺が昔みたいに着替えさせてやるよ。」
振り向いたのは悪魔の様な顔をした兄ではなく鬼だ。
『やっ…!!ちょっ!待って!!!』
(この人、目が本気だ…!!!)
スタスタと近づいて、私が着ているパジャマの裾を摘むと強引に脱がそうとする鬼。
「そんなにお兄ちゃんに着替えさせてほしいのか〜、そうかそうか。たまには甘えたくなるんだなぁ??」
目の笑っていない笑みを浮かべている。
『わっ、わかったから!!着替えるから!!!出てって!!!』
パジャマを鬼の手から奪い取り、後ろを向く。
きっと今の私の顔は茹でダコみたいに真っ赤だろう。
「わかればいいんだよ、わかれば♪」
ご機嫌そうな声で"早めにな〜"と言いながら兄は扉から出ていく。
『なんか………今日は本当にやばかったな…。』