@ラビリンス
いくつか授業が終わり昼休みになる。
「朔菜。ご飯いこ。」
名前を呼ばれて頷く。
兄から託されたお弁当を持って人気の少ない裏庭でシートを広げる。
「珍しいね、ちゃんと学校くるなんて。」
彼女はこの学校に入る前からの友達。桜井美衣菜(サクライ ミイナ)だ。
『珪兄ちゃんが無理矢理ね…。』
ため息混じりに答えると美衣菜は綺麗な黒髪を耳にかけながら笑う。
「ふっ、珪吾さん急にどうしたんだろね?」
『わっかんない。いきなりゲンコツで起こされてさ―――』
今朝の愚痴をこぼしていると数人の男の人達がこちらに歩いてきた。
「おいおい、可愛い子いるよ!」
「おー!本当だ。しかもイチクラじゃん。」
「君達名前なんて言うのー?」
(うわ…サンクラの人達だ。)
※イチクラ=1クラスの意味。
・1クラス→20~23歳
・2クラス→24~27歳
・3クラス→28~30歳
明らかに嫌な雰囲気を放っている男達はニヤニヤと笑いながら近づく。
『すみませんけど、今ご飯食べてるんで邪魔しないでもらえますか。』
冷たく言い放つと一人の男の顔から笑みは消え、小さく "あぁ?" と聞こえた。
怯えているのか美衣菜が私の袖をぎゅっと握る。