リコリスの花
「瑠奈?」

お婆ちゃんが呼んでいた。

「なぁにーっ?」

襖を開けお婆ちゃんの部屋、和室へ向かう。

「瑠奈、もう少しであたしは最後だよ。 それまで手を繫いでておくれ──」

今にも死にそうな声だったと思う。

あたしはリコリスの花を触ってから──手を洗っていなかった。

「うん」

あたしは手を繫いだ。

その、手を繫いだ瞬間にお婆ちゃんは息を引き取った──。

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