語り屋の 語りたる 語り物
蒼白な顔に映える、それはそれは見事な赤い瞳だった。
ーーー混血…か
赤い瞳は、南の国民の典型的な特徴だ。
黒髪は、突然変異か。
彼女は恐らく
今、最も禁忌とされる、
北の国民と南の国民の
両方の血を併せ持つ
混血の者だ。
女は、イーザの姿を認めると、驚いたように眼を見開き、弱々しく顔を隠そうとした。
それらを振り払い、イーザは上半身を抱き起こして服を剥(は)いだ。
女の僅かな抵抗も虚しく、白い肌が露わになる。
イーザの思った通り、背中には歪(いびつ)な奴隷の烙印があった。
しかも傷跡の古さからして、この戦争で捉えられたのではなく、
もっと昔に、刻印されたものだろう。