語り屋の 語りたる 語り物





それほど大きな街ではないが、
中央へいくほど盛んになっており、
その程度の甚だしさは


ここの自治をしているマッダーラの人となりを、よく表していた。



もう朝だというのに、死んだ魚のような眼をした住人たちが、
活力のない動きで門前の掃除をしたり、寝そべっていて、


イーザ達の荷車を煙たそうに見送っていた。



その人相も、奥に進むにつれ段々と悪くなり、異様な眼を光らせてこちらを見る者も多くなっていった。




まだ開いていない、大きな商店通りを渡り抜けたところに、

大きな円形競技場
ーーーコロシアム
がそびえ立っていた。



サーカスの本拠地であり、
街のど真ん中にある、
このコロシアムの中に、マッダーラはいる。


入りの門の前まで馬車を走らせた。



大柄でスキンヘッドの、ボコボコとした顔立ちと鋼の肉体をもつ門番
ーーコロシアムの名物の1つ「鉄の番人」
と、軽くやり取りをして、

中に入っていった。



< 20 / 58 >

この作品をシェア

pagetop