語り屋の 語りたる 語り物
「…相変わらず悪趣味かつ不健康そうで何よりだ。
夜にショーがあって、昼に準備して、朝にせず、いつ取引きするんだよ。」
イーザは鼻で笑った。
「クソ生意気なところも相変わらずだ。…挨拶はここまでにしよう。
思ったより早かったな。今回の品は前の戦争の捕虜といったところか?」
「ああ、いきがいいぞ」
「いきが良すぎるのもな、扱いに困るんだよ」
「どうせ薬漬けなり、手足を捥いだりするんだろ?」
「面倒な手間が増えちまう」
「じゃあ他の客に回そう。俺もお前と対面することそのものが面倒だ」
「…お前、喧嘩売ってるのか?」
「さっさと商談を進めたいだけだ。ウチの商品に不満があるなら他所(よそ)に移る。どうするんだ?」
一触即発な雰囲気に、イーザの後ろで控えている商人は、冷や汗を浮かべた。