語り屋の 語りたる 語り物
2.はじまりと出会い
奴隷は、ロクな生き方死に方はしない。
男の殆どは重労働の挙句、惨殺され
女の殆どは労働と慰み者の2つを往きかった。
今ある階級制度が、愛おしくみえるぐらいには
まともな扱いではなかった。
戦に負ければ服従が決まる。
烙印を身体に刻まれ、一生のがれられない。
1つの国の中で、北と南が分裂していた。
その2つが大きく争い、北が支配したとき、
多くの南の国民が囚われ、北に連れ込まれ、奴隷と化した。
そんな魔の手から逃げ切った
ごくごく僅かな南の国民は、
焦土と化した故郷の地で
どす黒い報復欲で腹を満たしていた。