語り屋の 語りたる 語り物
その代償
「私は去勢した奴隷が欲しいといったはずよ?イーザ」
女は口元を扇で覆いながらイーザを軽く睨んだ。
「その種のご要望は受け付けないと、この前も申し上げたはずですが?」
イーザは、膝を折ったまま、無表情かつ無感情な声で言った。
「客の要望に応えようと思わなくて?」
「真っ当なお望みであれば、応えるつもりです」
「文句をつけるのね?その麗しいお顔、ぐちゃぐちゃにしてあげようかしら?」
派手な化粧のされた顔がもう一つ醜く歪んだ。
「去勢の奴隷は、奴隷商売の中でも正規では出回っていません。
お望みであれば、別の商人からか、ご購入頂いてから、ご自身で処理なさって下さい。」
一旦区切ってから、イーザは女の顔を真正面から見据えた。
「私の顔をどうかするのであれば、それ相応のお覚悟を」