語り屋の 語りたる 語り物



「何だお前、懸想したのか?」


ルンが冗談めかしく言うと、アムスは顔を火のごとく赤くして否定した。



イーザは、それをみて一つわかったことがあった。


今は亡きマッダーラの策略が、そこにあったのだということを。


見る人を虜にするサーシャ。

そんな奴隷を自分の手駒にし、

彼女の艶めかしさ、妖艶さをショーという独特の場で人々に存分に見せつけ、
どうしようもなく惹かれてしまう者を獲物として、


今日まで食い繋いできたのだろう。


彼の姑息さを改めて知り、イーザは死して当然だと思った。


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