語り屋の 語りたる 語り物
「…まぁ、どちらにせよ、マッダーラの所有していた奴隷は処分されるでょう。
あんな男の手垢まみれの商品なんて、売れやしないでしょうし。
気の毒ですが、あの赤目の混血奴隷も。」
何の感慨もなさげに言うと、ナムは軽やかな動作で荷物の整理を始めた。
ルンも言葉なく同調し、
アムスは黙ったまま、
イーザは無表情で、
各々の支度に取り掛かった。
ここには長居したくないであろう、ナムのために、一行は手早く身支度を整え、
商品と金銭を交換してから、
この屋敷を後にした。