語り屋の 語りたる 語り物



今宵の野宿をこの辺りだと定め、
残り少なくなった奴隷の世話をして、

夕飯の支度が整ったところで、
ひと段落がつく。


今しがたたどり着いた伝書鳩に水を含ませながら、イーザは口を開いた。

「『鉄の番人』が、事態を鎮圧させているそうだ」

その報告に、残りの一行はなるほどなと、苦笑した。



鉄の番人ときいてから、皆の考えが行き着く所は同じだった。

マッダーラへの忠誠心からか、自らの支配欲からか。

理由はいくらでも想像できるが、
あの男の力は人間のそれではないので、
暴力で制圧をするとなると、向かうところ敵無しだろう。


むしろ、彼がマッダーラの暗殺者かもしれない。


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