語り屋の 語りたる 語り物



荷馬車を引き終え、準備をしていた矢先に、小さな女の子がルンにぶつかった。



その母親と思(おぼ)しき女が、血相を変えて飛んできて、地に頭をつけて謝る。


特に感慨もなくルンは、いいですよと流していたなか、

イーザは、その先に目をやったところで手を止めた。



白いフードに身を包み、足早にうつむきながらに通る女性。



すぐに人ごみに紛れたが、その姿形は見覚えのあるものだった。


訝しく思うものの、

そそくさと立ち去る母娘の後ろ姿をみとめてから我に帰り、作業に戻った。





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