語り屋の 語りたる 語り物
ルンも苦笑しながら、鍵を手に取り、口を開く。
「それもそうと、この鍵…俺たちの誰かが開けたって結論しか出ないな」
ナムはへぇ、とルンの方を向き直り、
中性的で端正な顔を歪ませてあざ笑う。
「何のために?まさか今更、奴隷に情が湧いたとか?」
「さぁ?」
ルンは、おどけながら、おお怖い、と肩をすくませた。
「…アムス」
イーザが低い声で名を呼ぶと、アムスは身体を大きく脈打たせて、こちらをみた。
相変わらず顔色が悪い。
ルンとナムは、直ぐに黙った。