溺愛されました
放課後。
「なあなあ咲希。昼間の男、誰だれ!?」
「そうそう!!誰ですか??」
そう言って、つついて来るのは食堂にいた、仲のいい1年の鈴木加織(スズキカオリ)と1年から同じクラスの那賀川あい(ナカガワアイ)だった。
加織は頭の上でポニーテールにしたぽっちゃりさんで、噂話が大好物。
あいは少し大人しい、ざっくりとハーフアップにしたボブヘアのちょっとニキビ顔。
2人とも顔立ちは可愛かった。
「いや、あの人は」
説明する間もなく、
「はいはい、時間もったいないから、さっさと始めよか」
ジャージに着替えた樹荏が仕切る。
咲希が横から咳払いし、
「みなさん集まりましたね。今日から守村先生の代わりにコーチをしてくださる」
「樹荏丞です。よろしゅう頼んます」
被せ気味に。
「早速ですが、練習に入る前に個人的な事情で、キャップと一戦することになりました。みなさんご協力、願います」
有無を言わさすラケットを持ち、
「ほな、ちゃっちゃと終わらそか」