溺愛されました
ことごとく一方的だ。
学食にいた生徒もいたが、何となく耳に入っていた生徒がざわつく。
「何の話??」
「コーチとキャプテンが勝負するんやって」
「コーチが勝ったら咲希と付き合うらしいで」
「え~~っ?!そんなんアリなん!?」
「アカンやろう。教え子とコーチなんか」
「イヤらしい~」
「外野、うるさいで!!ズルせんように見とけよ!?」
「ズルなんかしません!!」
むしろするなら、あなたでしょう??と。
しぶしぶコートに立つ咲希。
ピッ!とホイッスルが鳴る。
樹荏が先攻でサーブを打つ。
肩を掠め、一瞬で入った。
早い。
「お、大人げないですよ!!手加減してください!!」
「残念やなあ、真剣勝負やし、負けたげられへん」
樹荏がニヤリと嘲る。
手慣れたボールの扱いに、それなりの腕が窺えた。