溺愛されました
「いやいやいや!!ちょお待てお前!!話違うやんけ!!俺はどうなんねん!?」
疲れた咲希が拗ねて呟く。
「…別に、告白はしたかっただけだし、勝負するとは言いましたけど、約束するとも付き合うとも、言った覚えはありません」
「なん……??」
「…俺も」
「えっ!?」
「俺も、前から好きだった。こんな形で言わせてごめん」
「え"~~っっ!?」
周りがザワつき、樹荏が慌てふためき間に割って入る。
「ちょお待て!!!なんやコレは!?何で俺が取り持ったみたいになってんねん!?そんなんアカン!!フェンス越しに見詰め合うな!!離れろ!!」
「邪魔しないで…」
言い掛けた唇を、塞ぐ樹荏。
フェンスに両腕を押し付けられた咲希。
あっ、と周りの空気が止まる。