溺愛されました
そしてその女が現れたのは、部活の最中。
「なあなあ、ここがテニス部なん??高校、懐かしいなあ。中退やったけど」
か、関西弁!?
その場にいた生徒全員が反応して振り向いた。
グラウンドの外でフェンス越しにはしゃぐ派手な女。20代後半と思われる、背中まで伸びた茶髪の巻き髪。
誰に言うともなく、生徒に話しかけている。
「あの、失礼ですが、どちら様…??」
恐る恐る声を掛けてみる咲希。
「あ、アタシ??昨日からここに来てるらしい樹荏丞の、『大阪の彼女』ですぅ」
「『大阪の彼女』???」
「どういうことですかっ!?」
「他にも彼女がいるってことですか??」
新たなオモチャを見つけた、加織とあいを筆頭に囲まれる女。
「あらアタシ、人気者??」
あの樹荏に本当に女がいたとは!!と、みんな興味津々だ。
「名前は内緒な??彼とはそやなあ、5年のお付き合いになるかなあ??」
ふふんと、咲希を見る。
やっぱりアイツ!!向こうに女いたんじゃないの!?
と怒りが沸いてくる。
人をバカにして!!
間近で見てもメイクもバッチリのキレイな女性だ。いい匂いがする。
明日会ったらタダじゃおかない!!
「あら??アナタが『新しい彼女』??可愛いなあ!ケド初対面の男の人に平手打ちするなんて、勇気あるやん。顔赤なってたであの子」
もう知ってるのか。