溺愛されました
「昨日、帰ったら親戚が来てて」
部員が部活で集まってきた。
「ちょ、ちょっと、おいで」
「何ですか!?ここで話してください」
「ええから!!お前は来んな!!シッシッ!!」
鳴瀬を手で払い、空いた部室に誘導する。
「その、なんや……お、見合い、させるとか言い出しやって」
「すればいいじゃないですか。よかったですね、彼女できますよ」
「嫌やって言うてんねん!!なあ、頼む!!1時間でええ!!フリ?うん!!そうや!!彼女のフリでええから!!お願い!!!」
「はあ!?」
困り果てた様子で髪をわしわしと掻きながら、
「う~その~親戚いうのがまた、けったいなオバハンで、言い出したら聞けへんいうか。彼女おるいうても信用せえへんから」
それは血筋だ。
親戚にすら信用がないのか。
「昨日の彼女がいるじゃないですか」
「せやから嫌やって、そんなん!!!なあ、お願い!!」
「……助けたくない、関わるとろくなことない」
「そんなこと言わんと!!」
「コーチ、入っていいですか??」
加織が顔を出す。様子を見に来た。
「ほな、そういうことで、日曜、1時に駅前のファミレスな!!」
言って逃げた。