溺愛されました
「こ、こうにんの、こんやく……」
「知らない!!そんな話!!」
知ってたら先輩に告白なんてしてないし!!
と咲希が一番驚く。
「……お兄ちゃん……??」
ふと、思い出した咲希が。
婚約がどうのは別として、小さい頃、憧れのお兄ちゃんが近所に住んでいて、よくテニスを教えてもらった。
「そうよ!お兄ちゃんに教わって、始めたのよね!?テニス」
幼い記憶が蘇った咲希は、思わず当時に戻り、子供の感覚で諏訪に飛び付いた。
「元気だった??久しぶり!!」
諏訪も満更でもなさそうに頭を撫でる。
「な…?!お前何してんねん!!あかんて!!離れろ!!」
慌てて割り込む樹荏。
「やだ!!痛い!!」
引き剥がそうと掴んだ腕を、ひょいっと掴み捻り挙げる諏訪。
「いって!!」
「嫌がってるじゃないですか。僕の婚約者に暴力を振るわないでくださいよ」